不動産業者には、土地や建物の売買を仲介や買取りするだけではなく、不動産の所有者が困り果てた末に相談に来る『特殊な案件』があります。
〇刑務所の中から自宅の売却依頼 〇住宅ローンが払えないので買取って欲しいがそのまま住み続けたい 〇2週間以内に売りたい、買いたい 〇カップルが喧嘩して、灯油をまいて火をつけた。等々．．．
今回は、近年増加している老々介護の末、事件に発展〘 老々介護の末、お婆さんが亡くなったことに気付かず放置。残された認知症のお爺さんが１月後に逮捕→地方に住んでいる息子からの売却依頼 〙の話です。
事件性あり？買取り相談
神奈川県相模原市に、自己所有の一戸建て（土地：40坪 建物：25坪・築40年）に住んでいた高齢の石田さん（仮名）のお婆ちゃんは、病気で寝たきりでした。お爺さんは認知症です。
家の中は、ゴミだらけ。お婆さんの寝床から玄関まで行くには、ゴミの山をかき分けて行かないと到達できません。
相模原市のケアセンターの職員が亡くなったお婆さんを発見したのは、死亡して1か月以上経過した後でした。
お爺さんは、死亡したことに気付かず『妻は旅行に行って、まだ帰らない』と思っていたそうです。
お爺さんは、死体遺棄等の容疑で逮捕されますが、認知症の為、保釈され、その後施設に入ります。
残された自宅には、息子立会いのもと清掃業者が入り、ゴミ屋敷状態だったお家は片づけられました。
すでに地方で生計を立てており、借金もあった息子は自宅を売却することにして、清掃業者に相談しました。
清掃業者の買取掲示金額は400万円!! 売買の取引相場は2,000から2,300万円以上です。
清掃業者を信用できないと感じた息子は、地元で有名な『 ハシオ不動産 』の橋尾社長（仮名）に相談します。
清掃業者の無茶苦茶な買取金額に怒りを感じた橋尾社長は、買取金額を1,600万円で掲示しました。
物件で人が亡くなり、警察が出入りして事件になっているので、相場より安くなりますが、息子は大喜びで契約しました。
以上が、今回の簡単な経緯です。似たような話は、増加しています。
早く相談すればよかったのに・・・
橋尾社長どうせ建物は解体するんだから、早く相談に来てくれれば、清掃代は払わなくて済んだのにね。
わたしそうですね。病気の母がいるのに、息子は連絡もしなかったんですね。月に一回でも連絡してれば、こうはならなかったでしょうね。死亡した母に気付かないで父が逮捕されるなんて、悲しいですね。
橋尾社長それにしても、清掃屋が掲示した買取金額の400万は低すぎるよね。父の施設代もあるだろうし、1,600万円で買ってあげたけど．．．あの息子、借金返して、ちゃんとお金残してるかな。
わたし1,600万円はいい金額ですね。前に飲食店の社長から紹介があった借金だらけの息子は、親の家（津久井湖の近くの物件）を相続して、500万円で売ったけど、3か月後には全部使いきってました。
橋尾社長だよね。
わたし40歳過ぎて、パチンコ等のギャンブルで借金がある人って、治らないですよね。毎月連絡していれば、母が亡くなった後、すぐに手続きして普通の物件として、2,000万円以上で売れたでしょうね。400万以上損してますね。
親が病気なの、知らなかったんですかね。
橋尾社長そうだね。ところで、こんな物件の買取り相談があるんだけど、どう思う？・・・
実際は、本件に関して1時間以上話していたので、自分だったらどうだ。とか病気の母と認知症の父がどうやって生活してたのか？とか、色々と話していましたが、しばらく談話した後に『明日ゴルフだから打ちっぱなしに行く』と橋尾社長は出かけました・・・
